簿記のネット試験ってどんな感じ?
今度受けるかもしれないから、どんな感じなのか事前に知っておきたい。
コロナ渦の2020年12月より日商簿記検定にネット試験(CBT方式)が導入され、約4年が経ちました。
受験生にとっても非常に便利な制度であり、10人中7~8人はネット試験を受験しています。
2023年12月より、東京23区では統一試験(筆記試験)を廃止しており、今後も都市部を中心に廃止されていく可能性が高いです。
統一試験が完全になくなることはないかもしれませんが、今後もネット試験が主流の時代が続きそうですね。
そんなネット試験(CBT方式)について、イメージが湧くように徹底解説していきます!
目次
ネット試験の概要
ネット試験と聞くと、「自宅で受験できるの?」と思うかもしれませんが、テストセンターと呼ばれる会場へ行って受験します。
まずは統一試験(筆記試験)と比較しながら説明していきます。
統一試験 | ネット試験 | |
---|---|---|
試験 日時 | 6月、11月、2月 | ほぼ毎日 |
試験 会場 | 大学などの 指定会場 | テストセンター |
試験 方式 | 紙で解答 | パソコンで解答 |
試験 問題 | 受験者全員同じ | 受験者ごとに ランダム |
受験料 | 3級:3,300円 2級:5,500円 | 3級:3,850円 2級:6,050円 (事務手数料550円込み) |
合格 発表 | 約2週間後 | 即時 |
持込物 | 受験票、本人確認証、筆記用具、電卓 | 本人確認証、電卓 ※筆記用具は支給される |
最大の特徴は試験方式(パソコンで解答する方法)ですが、他にも特徴がありますのでメリットとデメリットに分けて説明していきます。
ネット試験のメリット
好きなタイミングで受験できる
すぐに合否が分かる
統一試験よりも合格率が高い
ネット試験はメリットが盛りだくさんです。
好きなタイミングで受験できる
何と言ってもネット試験の最大のメリットは、圧倒的な自由度です。
ほぼ毎日開催されているので、自分のタイミングで受験することができます。
そろそろ仕上がってきたな…と感じたら、3日前までに予約すれば受験できます。
同様に予約変更も3日前まで可能で、手数料はかかりません。
※1年間は無制限に予約変更できますが、キャンセルする場合は¥1,100かかります。
会場にもよりますが、9時半~20時半頃まで受験できますので、平日に午前休を取ったり、平日の仕事終わりに受ける人も多いです。
すぐに合否が分かる
統一試験の場合は合否が分かるまで2週間ほどかかりますが、ネット試験の場合は試験終了後すぐに判定されます。
上記のように合否判定とスコアレポートがもらえるので、不合格だった場合でも迅速に敗因を分析・対策し、再受験することができます。
このスピード感は本当にありがたいですね。
統一試験よりも合格率が高い
特に2級で顕著な傾向にありますが、ネット試験の方が合格率が高いです。
ネット試験の方が基礎的な問題が安定して出題されている印象で、統一試験の方は捻った問題が混ざっており、問題数もやや多いです。
後述しますが、ネット試験では問題用紙に書き込みができないので、複雑な問題が出題しづらい事情があるのかと思います。
級 | 試験 方式 | 2023年 6月 | 2023年 11月 | 2024年 2月 |
3級 | 筆記 | 34.0% | 33.6% | 36.3% |
ネット | 37.1% | |||
2級 | 筆記 | 21.1% | 11.9% | 15.5% |
ネット | 35.2% |
全然違いますよね。
ちなみにネット試験で合格しても統一試験で合格しても区別されることはなく価値は同じですので、安心してください。
(合格率の差を知っている人が興味本位でどちらで合格したか聞いてくることはあるかもしれませんが、何の意味も持ちません)
ネット試験のデメリット
デメリットと言うほどでもないですが、PC画面に問題が映し出されますので、直接書き込むことができません。
先ほども言ったように、逆に複雑な問題が出題されづらいというメリットにも繋がります。
代わりに計算用紙が2枚配られますので、こちらにメモしていくことになります。
しかし、メモ用紙はできるだけ使わない方が得策です。詳細は後述しますね。
申し込み方法
ネット試験の申し込みは、インターネットのみになります。
日商簿記 | CBT-Solutions CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト
申し込みの流れ
-
STEP.01
- 新規アカウント登録
- 初めてCBTで受験する場合は、アカウント登録から開始
-
STEP.02
- 受験予約
- 受験する級/会場/日時を選択
-
STEP.03
- 支払い
- クレジットカード等で支払い
-
- STEP.04
- 完了
- 登録されたメールアドレスに詳細情報が届く
- STEP.04
地域と期間を選択すると、各会場の空き状況が一覧表示されます。
とっても便利ですね。
受験したい日時に空きがなくても、3日前まで予約変更できるので、直前にキャンセルが出て空くことがあります。
申し込む際の注意事項
ほぼ毎日受験できるものの、受験停止期間がありますので、注意が必要です。
年末年始
4月上旬
「この時期に受けようと思ってたのに!」と、予定が狂わないようスケジューリングが必要です。
受験当日の流れ
当日の流れを追っておきます。
① 受付
30分~5分前までに予約した試験会場の受付に行きます。
統一試験と違って受験票はありませんので、本人確認書類を提示します。
受付が完了したら、受験ログイン情報シート・計算用紙・筆記用具を受け取ります。
② ロッカーに荷物を預ける
教室へ入る前に荷物をロッカーに預けます。
会場から支給された物(ログインシート・計算用紙・筆記用具)以外では、本人確認書類と電卓しか持ち込めません。
※私物の筆記用具は持ち込めませんので、ご注意ください。
③ 入室
教室に入ったら指定の席に座ります。
「受験ログイン情報シート」に記載されているIDとPWを入力し、「日商簿記検定」を選択します。
※日商簿記以外の受験生ももちろんいます。
④ 試験開始
「試験開始」ボタンを押すと、60分間の試験が始まります。
身の回りを整えて一息ついてから、ボタンを押しましょう。
勘定科目はプルダウン、金額はキーボードで入力します。
⑤ 試験終了
60分経過すると自動的に試験が終了します。
その場で結果が表示されるので、余韻に浸る時間もありませんね。
荷物を持って退室します。
⑥ 退室
退室したら受付でスコアレポートを受け取りましょう。
最後にロッカーから荷物を回収して、支給物を返却したら終了です。
ネット試験のコツ
試験時間は、簿記3級が60分、簿記2級が90分です。
決して長い時間ではありませんので、スピードが求められます。
計算用紙をびっしり使っていては、とても時間内に終わりません。
計算用紙をいかに使わないかが重要です。
3級 | 第1問 | 第2問 | 第3問 |
出題内容 | 仕訳 | 勘定記入 補助簿 等 | 試算表 精算表 財務諸表 |
下書き | |||
解き方 | 解答しながら完成させる | 整理のために最低限記入 | 仕訳のみ |
理想は一切メモせず、電卓とパソコン上で完結させることですが、人によって完成度が異なるので自分のレベルに合わせてOKです。
ですが、少なくとも第1問に関してはメモしても二度手間ですので、直接パソコン画面で入力しながら仕訳を完成させましょう。
学習初期は積極的に手を動かした方がいいですが、直前期は本試験に近い形で極力メモしないように練習できるといいですね。
まとめ:模擬試験を解いておくと安心です
これまでネット試験の流れなどを説明してきました。
ちなみに会場によっては、計算用紙や電卓の置き場所が狭い所もありますので、事前に会場の写真などを見て確認しましょう。
また事前準備として、本試験を受ける前に模擬試験(ネット試験)を解いた方が良いです。
筆記試験3回(2級は5回)→ネット試験1回、は最低でも必要です。
低価格ですので、ネット試験付きの答練を購入することをお勧めします。